FP・金融教育講師向け

≪金融庁≫国民の安定的な資産形成の支援に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針(案)について

基本方針の位置づけ

金融経済教育推進機構の設立が、2024年4月。本格稼働が2024年8月となります。

金融経済教育推進機構の設立にあたり、政府が「基本的な方針」を策定し、それに基づき金融経済教育推進機構が実務を遂行するにあたっての拠り所になるものと考えられます。

「基本的な方針(案)」は、2024年2月13日に金融庁のHPで公表されました。

FPと関連のある部分について

顧客の立場に立ったアドバイザーの普及・促進

認定アドバイザーの重要性について言及しています。
日本ではこれまで報酬をもらう金融アドバイザーが根付いてこなかったので、その風土を醸成するとともに、アドバイザー自身を育成していく方針であることが読み取れます。

国民の安定的な資産形成を支援するためには、個々人のライフプラン、資産状況、収入等を考慮した上で、家計管理、資金計画、財形貯蓄・NISA・iDeCo等の税制優遇制度、多様化する金融商品・サービス等について、気軽に相談し、継続的に良質なアドバイスを受けられる環境を整備することが重要である。この点、組成・販売等を行う金融機関においては、顧客本位の業務運営の確保を進め、顧客に対して適切な情報提供を行うことが引き続き期待されるが、さらなるアドバイス環境の充実を図る観点から、インベストメント・チェーンにおいて顧客と販売会社の間に入り、顧客の判断をサポートするアドバイザーの役割も大きい。また、そのアドバイスについては、顧客の立場に立って、顧客の家計全体を最適化するよう行われることが必要である。しかしながら、顧客の立場に立っていると謳いながら、例えば短期的な収益の追求など、顧客の利益とは必ずしも一致しない動機に過度に偏重した結果、特定の金融事業者や金融商品に偏ったアドバイスが行われているケースが見られる、顧客にとって誰が信頼できるアドバイザーであるかが分からない等の課題が指摘されている。こうした点を踏まえ、様々な形で良質なアドバイスがより広く提供されるよう、3⑻で後述する金融経済教育推進機構において、一定の中立性を有し、顧客の立場に立っていると評価可能なアドバイザー(以下、「認定アドバイザー」という。)の見える化に取り組む。その際、諸外国では、アドバイザーが提供できる商品・サービスの範囲や、顧客からのみ報酬を得ているかどうか等に着目している点を踏まえることとする。また、これまでの我が国における金融ビジネスの慣行や家計のアドバイス・サービスの利用状況を踏まえれば、現状、顧客からのみ報酬を得るアドバイスでは持続可能なビジネスとして成立させていくことには困難が伴うとの指摘もある。顧客が良質なアドバイスを気軽に受けられる環境を整備する観点から、3⑻で後述する金融経済教育推進機構において、こうした認定アドバイザーを支援していく

長期・積立・分散投資の意義

政府は「長期・積立・分散」を押していることが伺えます。
アドバイザーは、顧客へアドバイスする上で、「長期・積立・分散」の考え方を土台として、顧客に助言をしていく必要があることが理解できます。

資産形成の方法は「貯蓄」と「投資」に大別されるが、それぞれの金融商品の特性に留意しつつ、これらの組み合わせを検討していくことが重要である。金融商品の有するリスクやリターンは商品ごとに様々であるが、流動性・収益性・安全性の観点から、それぞれの特徴を理解する必要がある。例えば、一般的には、預貯金は、流動性や一定の元本保証があることに伴う安全性が高い一方、収益性は株式や投資信託等に劣る場合が多い。株式や投資信託等は、一定の収益性が期待できる一方、元本割れのおそれも存在する。こうした中、株式や投資信託等への投資に伴うリスクを可能な限り軽減しつつ、安定的な資産形成を行うためには、長期・積立・分散投資が有効な選択肢の一つとなる。具体的には、積立投資により、一括投資に比べ高値掴み等のおそれの軽減が期待でき、分散投資(投資対象の商品(アセットクラス)や地域を分散させること)により、ポートフォリオ全体が特定のリスクから受ける影響を軽減することが可能となる。そして、こうした積立・分散投資を長期間継続することで、複利効果も享受しつつ、安定的な資産形成に取り組むことが可能になると考えられる。ただし、これらの知識を習得したことのみをもって投資で損をする可能性を排除できるわけではなく、投資から生じる利益や損失は、投資対象商品の相場変動、為替相場、当該商品の売買にかかる手数料や税制等、様々な要因に左右されるものであることに留意が必要である。以上の観点を踏まえ、長期・積立・分散投資の意義について、普及・啓発に取り組んでいく

金融トラブルから身を守るための知識の習得

特に若年層を対象としたトラブル防止のための教育が強化されます。

従前から、本来の価値に見合わないものを高額で売りつける悪質商法や、小さなリスクで大きく儲かると偽る詐欺的な投資勧誘などの相談事例が多く存在したが、昨今では、偽メールや偽サイトによるフィッシングや架空請求などに加え、SNS等における暗号資産へと関連付けた詐欺的な投資勧誘の相談事例が増えているなど、金融トラブルは多種多様化している。こうした中、独立行政法人国民生活センターによれば、生命保険や投資信託、多重債務、暗号資産といった金融関連商品・サービスに関するトラブルの相談件数は、引き続き高水準かつ増加傾向にある。

こうした現状を踏まえ、最新のトラブル事例や、トラブルから事前に身を守るための情報や万が一トラブルに巻き込まれてしまった場合の対処方法等、被害防止に必要な情報を適時適切に提供する仕組みを整えるとともに、国民が必要な金融リテラシーを身に着けられるよう、支援していく。その際、令和4年4月に成年年齢が引き下げられたことを背景に、若年層が金融トラブルに遭うことを防止する観点からも、若年層に対する金融経済教育を強化していく

私的年金等の普及促進

DCの継続教育は努力義務のため、実効性が伴っていない現状を打破するため、職域(職場)に対する講師派遣事業を行なっていくことが明記されています。

公的年金の上乗せの給付として、高齢期により豊かな生活を送るための制度として重要な役割を果たす企業年金やiDeCoを含む私的年金等について普及促進を図るため、政府横断的に広報を行っていく。具体的には、企業型確定拠出年金(DC)実施企業を含む職域での従業員向け教育の支援(講師派遣事業)のほか、私的年金等に関する広報活動を展開していく。

学校・教員向け支援

中学は社会科と技術・家庭科、高等学校は公民科と家庭科で、金融経済教育に関する記載が拡充されています。金融経済教育推進機構では、学校への講師派遣を積極的に展開していくことが伺えます。

中学校学習指導要領(平成29年告示)」では、社会科(公民的分野)技術・家庭科(家庭分野)において、「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」では、公民科と家庭科において、金融経済教育に関する記載が拡充されている。さらに、「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説(家庭編)」においては、家計管理について理解する内容として、「預貯金、民間保険、株式、債券、投資信託等の基本的な金融商品の特徴(メリット、デメリット)、資産形成の視点にも触れるようにする。」と、具体的な視点が盛り込まれた。学校における金融経済教育を一層充実させるため、学校現場を支援する観点から、⑻で後述する金融経済教育推進機構は、学校や教員研修の場等への講師派遣を積極的に展開するほか、中学校や高等学校の各段階における学習教材の提供等を進める。また、学校における効果的な授業のあり方について研究を進め、広く普及していく。

金融経済教育推進機構における教育及び広報

機構のあるべき姿が示されるとともに、認定アドバイザーの役割について、言及されています。

政府や金融関係団体等においては金融経済教育に関する様々な取組が実施されてきたが、各種調査により、金融経済教育を受けたと認識している者は少数にとどまっていることが示されている。また、金融経済教育の担い手が金融関係団体や金融機関では、金融商品の販売・勧誘が目的ではないかと疑われ、受け手から敬遠されるとの指摘や、各主体の取組には重複する部分も見られ、全体として見ると非効率ではないかとの指摘もある。こうした指摘を踏まえ、金サ法に基づき、金融経済教育推進機構(以下、「機構」という。)が令和6年4月に設立予定である。機構は、金融リテラシーの向上を図るプラットフォーマーとして、時代の移り変わりと個人の多様性に即した金融経済教育を提供し、いまと未来の暮らしをより良くする金融サービスの活用や資産の形成と活用を支援するこれにより、一人ひとりが描くファイナンシャル・ウェルビーイングを実現し、自立的で持続可能な生活を送ることのできる社会づくりに貢献していく。こうした考えの下、まず、全国に教育の機会が提供されるよう、その活動を抜本的に拡充する。そのため、関係省庁・地方部局、地方公共団体、教育機関、経済団体、金融団体・金融機関、都道府県金融広報委員会等の多様なステークホルダーとの連携を強化し、地方を含めて「学びの場づくり」に取り組む。特に、機構が有する公的性格という強みを活かし、認定アドバイザーも活用しながら、積極的な企業向け講師派遣や企業の人事・福利厚生担当者向けセミナーの開催等を通じて、企業における雇用者の資産形成支援を促していく。さらに、成人向けの教育・広報の実施に当たっては、個人の行動変容を促すために、金融経済教育とともに、個人の立場に寄り添った認定アドバイザーの役割が重要である。このため、機構においては、上述特定の金融事業者・金融商品に偏らないアドバイスを行うアドバイザーを認定・支援することにより、個人が気軽に相談できる環境を整備する。

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1級FP技能士/元銀行員
まくすけ(1級FP技能士)
こんにちは。まくすけです。 元メガバンクの社員です。 銀行での経験を活かして、金融教育に関する情報発信をしています。
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