FP・金融教育講師向け

【学校・人事】金融教育を受けたことがある人の特徴について

 今回は金融教育を受けたことがある人について、どのような特徴があるのかを確認したいと思います。金融広報中央委員会が2022年に実施した「金融リテラシー調査」を紐解いてみます。

金融リテラシー

 同調査はボリュームが多いため、本記事では「金融教育を受けたことがある人の特徴」の項目に絞り、考察していきます。

「金融リテラシー調査」(2022年)の概要

調査機関

 金融広報中央委員会

 金融広報中央委員会の事務局は、日本銀行情報サービス局内にあり、同局金融広報課の約30名が委員会の活動に従事しています。
 各都道府県金融広報委員会、政府、日本銀行、地方公共団体、民間団体等と協力して、中立・公正な立場から、暮らしに身近な金融に関する幅広い広報活動を行っています。

調査対象

 18~79 歳の 30,000 人(日本の人口構成比と同じ割合で実施)

調査方法

 インターネットによるアンケート形式

設問の特徴

 「金融リテラシー・マップ」の8分野に基づき、「金融知識・判断力」に関する正誤問題と「行動特性・考え方等」といった金融リテラシーにかかる53問で構成されています。

金融教育を受けた人の特徴に関する調査結果

調査の概要

 調査サンプル数2,118人

金融教育を受けたことがある人の割合・傾向について

 以下のグラフは、金融教育を受けたことがある人・ない人の割合を世代別に表したものです。

 まず全体感として、男性も女性もほとんどの方が金融教育を受けたことがないということがお分かりいただけると思います。

金融教育を受けたことがある人・ない人のグラフ

 次に相対的な結果として、18-29、30-39歳の男性が多世代に比べて、金融教育を受けたと回答する人の割合が多くなっております。女性については全世代男性よりも割合が低く、30代以降は5%前後と、極めて低い結果となっていることが言えます。

 ※ 出所:「金融リテラシー調査2022年 統計表の一括ファイル」を基に筆者が作成

調査対象者の概要

 続いて、調査対象者の属性です。全サンプルと比べ、各項目が高くなっております。1点、金融トラブルの経験者の割合も、全サンプルと比べて高くなっている点が興味深いと感じました。この理由ですが、金融広報中央委員会は以下の通り言及しています。

「金融教育を受けた」と認識している若年社会人・一般社会人では、金融リテラシー・ギャップのマイナス幅が大きく、金融トラブル経験者の割合が高い。」

 つまり、自身の金融リテラシーについて、自己評価を過大評価してしまっていることが、金融トラブルにつながっているということが思料されます。

金融教育を受けたことがある人の属性

※ 出所:「金融リテラシー調査2022年 統計表の一括ファイル」を基に筆者が作成

金融知識・判断力に関する特徴

 こちらは、「金融リテラシー・マップ」の8分野に基づいた設問です。全サンプルと比較し、金融教育を受けたことがある人の割合がすべての項目で高いという結果になっています。

金融知識・判断力に関する特徴

 出所:「金融リテラシー調査2022年 統計表の一括ファイル

年齢・職業・年収・金融資産別の傾向

 年齢・職業・年収・金融資産別の正答率の傾向は以下の通りです。職業別はさておき、年齢・年収・金融資産の金額については、右肩上がりの傾向があることがわかります。

年齢・職業・年収・金融資産別の傾向

出所:「金融リテラシー調査2022年 統計表の一括ファイル

まとめ

 

  • 世代別で金融教育を受けたことがある人の割合は、20-29歳の男性が一番高いが、割合はたったの15%強である
  • 金融教育を受けたことがある人のほうが、金融トラブルにあった人の数が多い
  • 金融知識や判断力については、金融教育を受けた人のほうが好結果
  • 年齢・年収・金融資産は高くなればなるほど、正答率の傾向は高くなる

次回は、金融教育を受けたことがない人の特徴について、まとめていきます!

出所:金融広報中央委員会「金融リテラシー調査」(2022年)
1級FP技能士/元銀行員
まくすけ(1級FP技能士)
こんにちは。まくすけです。 元メガバンクの社員です。 銀行での経験を活かして、金融教育に関する情報発信をしています。
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