資産運用全般

NISA(ニーサ)・DC(イデコ等)・財形って何が違うの?

つみたて投資の制度はたくさんありますが、税制上の優遇措置があるNISA・DC・財形についてまとめました。

NISA・DC・財形の比較表

  NISA
(一般)
NISA
(つみたて)
DC
(iDeCo)
DC
(マッチング
拠出)
DC
(給与・賞与
選択制)
財形
目的 自由 自由 老後のため 自由
投資対象の商品 投資信託
ETF
株式
投資信託 投資信託
預金
保険
預金
保険
元本保証 なし なし なし・あり あり
給与天引 なし 会社による 会社による あり あり あり
引き出し いつでも いつでも 60歳以降 いつでも
メリット 非課税  
-運用益
-配当 
非課税  
-運用益
-配当 
◆非課税      
-運用益
-配当
-利息

◆税制優遇
-掛金の所得控除
-退職所得控除
-公的年金等控除

◆非課税    
-運用益
-配当
-利息 

◆税制優遇
-所得/住民税削減
-社会保険料削減
-退職所得控除
-公的年金等控除

◆非課税   
-年金財形
-住宅財形
◆奨励金
デメリット 元本割れ
リスク
元本割れ
リスク
元本割れリスク
60歳まで引き出せない
利息・配当率が低い
資格 成人(18歳~)
国内居住者
20~65歳
公的年金
被保険者
会社員(厚生年金被保険者)
会社が制度を実施している
制度実施会社のみ

まくすけ
まくすけ
1つづつ解説していこう!

各制度の目的について

  NISA
(一般)
NISA
(つみたて)
DC
(iDeCo)
DC
(マッチング拠出)
DC
(給与・賞与
選択制)
財形
目的 自由 自由 老後のため 自由

NISA(一般・つみたて)について

NISAは2014年にスタートした制度で、国民の資産形成を後押しすることを目的として、英国のISAの制度を参考にした制度です。日本版ISA制度だと呼びにくいので、NISA(ニーサ)という愛称が名づけられました。

DCについて

DCは『確定拠出年金』のことで、私的年金制度の一つです。年金制度という名前のとおり、老後の資産形成を後押しすることを目的とした制度です。

財形について

財形は『財形貯蓄制度』のことで、①一般財形②住宅財形③年金財形の3つの制度があります。①一般財形は目的を問われず、②住宅財形は住宅購入・リフォームを目的とし、③年金財形は60歳以降の年金払いのための貯蓄を目的とした制度です。

各制度の投資対象と元本保証の有無について

  NISA
(一般)
NISA
(つみたて)
DC
(iDeCo)
DC
(マッチング
拠出)
DC
(給与・賞与
選択制)
財形
投資対象の商品 投資信託
ETF
株式
投資信託 投資信託
預金
保険
預金
保険
元本保証 なし なし なし・あり あり

NISA(一般・つみたて)について

NISAは投資信託・ETF・株式といった元本保証がない商品への投資が対象となります。

新NISAの『つみたて投資枠』について 新NISAの『つみたて投資枠』について 新NISAの『つみたて投資枠』の具体的な銘柄について 現在の『つみた...

DCについて

DCは投資信託・預金・保険が投資対象となります。投資信託は元本保証ではありませんが、預金・保険は元本保証の商品となります。

財形について

財形は元本保証のある商品のみが対象となります。

給与天引きと引き出しについて

給与天引きとは、毎月の給与支払い時に、会社(事業主)が、あらかじめ給与の一部を積立用に天引きする制度のことです。

  NISA
(一般)
NISA
(つみたて)
DC
(iDeCo)
DC
(マッチング
拠出)
DC
(給与・賞与
選択制)
財形
給与天引 なし 会社による 会社による あり あり あり
引き出し いつでも いつでも 60歳以降 いつでも

NISA(一般・つみたて)について

NISAは、利用者が金融機関に振込や口座振替で資金を拠出し、金融機関のNISA口座内で商品の購入を行うことから、給与天引の制度ではありません

ただし、「職場つみたてNISA」という制度を会社(事業主)が、導入している場合には、給与天引を通じて商品の購入を行うことが可能です。

つみたてNISA
【人事】職場つみたてNISAをご存知でしょうか 職場つみたてNISAとは  つみたてNISAをご存じの方は多いと思いますが、職場つみたてNISAという制度があることをご...

NISAは積立資産をいつでも引き出すことが可能です。

DCについて

DCは給与天引きが可能です。iDeCoの場合は、会社(事業主)が同意した場合のみ天引きが可能です。マッチング拠出や給与・賞与選択制DCは、そもそも天引きを前提とした制度です。

また、DCは老後の資産形成を後押しするための制度です。したがって、積立資産を引き出すのは原則60歳以降となります。この点がNISAと最大の相違点です。

財形について

財形は給与天引きを前提とした制度です。

積立資産の引き出しについては、財形の種別ごとに制約が異なりますが、基本的にはいつでも引き出し可能であると考えて問題ありません。というのも、財形を目的外で引き出した場合には5年間遡って、利子に課税がされるのですが、近年は財形の利子は0.002%程度なので、大した影響がないと指摘できるかと思います。

補足 ~財形の種別ごとの引き出し制約について~

① 一般財形:制約なし
② 住宅財形:住宅購入やリフォーム以外の目的で引き出すと、利子が遡って課税される
③ 年金財形:年金形式の受取り以外の方法で引き出すと、利子が遡って課税される

各制度のメリット・デメリットについて

  NISA
(一般)
NISA
(つみたて)
DC
(iDeCo)
DC
(マッチング
拠出)
DC
(給与・賞与
選択制)
財形
メリット 非課税  
-運用益
-配当 
非課税  
-運用益
-配当 
◆非課税      
-運用益
-配当
-利息

◆税制優遇
-掛金の所得控除
-退職所得控除
-公的年金等控除

◆非課税    
-運用益
-配当
-利息 

◆税制優遇
-所得/住民税削減
-社会保険料削減
-退職所得控除
-公的年金等控除

◆非課税   
-年金財形
-住宅財形
◆奨励金
デメリット 元本割れ
リスク
元本割れ
リスク
元本割れリスク
60歳まで引き出せない
利息・配当率が低い

NISA(一般・つみたて)について

メリットは運用益や配当金に対する税金がかからない点です。

投資信託や株式で運用し、運用益が発生した場合は、20.315%の税金が徴収されますが、NISA口座の場合は、課税されません。

DCについて

メリットは3つあります。

1点目は、NISAと同じく、運用益や配当金に対する課税がない点です。

2点目は、掛金が所得から控除される点です。iDeCo・マッチング拠出は、所得控除として、確定申告で還付の対象となります。
給与・賞与選択制DCにおいては、掛金として選択した金額は給与とみなされず、その分の税金・社会保険料が削減されるという大きなメリットがあります。

3点目は引き出し時の税制優遇がある点です。一括で引き出す場合には、退職所得控除が適用されるため、20年以上勤続している場合は、『(勤続年数-20年×70万円)+(20年×40万円)』までの金額であれば、一切税金がかかりません。

(例)30年間勤務の場合
   (30-20)×70+(20×40)=1,500万円・・・1,500万円以内であれば、課税なし

また、年金として給付を受ける場合には、雑所得となりますが、公的年金等控除が適用されるため、年齢及び年金額に応じた額が所得から控除されます。

これだけ税制上優遇されているのは60歳まで引き出すことができないためです。そこが最大のデメリットということができます。

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財形について

メリットは、住宅財形・年金財形は利子に対する課税がない点ですが、ゼロ金利が当たり前の現在では、もはやメリットを感じることはありません。

むしろ、会社の福利厚生の一環として、奨励金制度を設けていたりすることがあります。

私も銀行員のころは、カフェテリアプランのポイントを消費して、2~3%くらいの奨励金を取得しており、利子よりも奨励金のほうがありがたかったです。

皆さんも奨励金制度があるかどうかを、ぜひ確認してみてください。

1級FP技能士/元銀行員
まくすけ(1級FP技能士)
こんにちは。まくすけです。 元メガバンクの社員です。 銀行での経験を活かして、金融教育に関する情報発信をしています。
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