ファイナンシャル・ウェルビーイングという言葉を最近耳にするようになりました。そもそもウェルビーイングとは何なのでしょうか。
国や民間でどのように言葉を使い分けているのか、調べてみました。
![ウェルビーイング](https://financial-educational-navigation.com/wp-content/uploads/2023/08/well-being-1024x764.jpg)
ウェルビーイング(Well-being)とは
内閣府(Well-beingに関する関係府省庁連絡会議)の取組
内閣府では、Well-being に関して、関係府省庁間の情報共有等を目的に、Well-being に関する取組について取りまとめています。第3回 Well-beingに関する関係府省庁連絡会議(2023年7月26日)の資料4『Well-being に関する取りまとめ作業方針』によると、Well-beingについて以下の通り言及しています。
Well-being について確立された定義はなく、身体的・精神的・社会的に「良い状態」を表す(慶応大学・前野隆司教授)といった定義がなされ、非常に幅広い概念であると解されています。
OECD が主観的 Well-being の計測に関するガイドラインを策定する等の状況を踏
出所:内閣府『第3回 Well-beingに関する関係府省庁連絡会議(2023年7月26日) 資料4『Well-being に関する取りまとめ作業方針』』
まえ、主観的 Well-being の計測を重視するが、取りまとめにあたっては主観的 well-beingの計測以外の事項も含むものとする。
主観的Well-being
OECD Guidelines on Measuring Subjective Well-beingによると、主観的Well-beingについて、は以下のように触れられています。
肯定的な物から否定的なものまで、人々が自分の生活について行うあらゆる評価と、
● 生活評価:ある人の生活またはその特定側面に対する自己評価。
人々が自身の経験に対して示す感情的反応を含む良好な精神状態。以下の3要素が含まれる。
● 感情:ある人の気持ちまたは情動状態、通常は特定の一時点を基準にして測る。
● エウダイモニア(eudaimonia):人生における意義と目的意識、又は良好な精神的機能。
出所:内閣府『第3回 Well-beingに関する関係府省庁連絡会議(2023年7月26日) 資料2『経済財政運営と改革の基本方針における Well-being の記載』』
主観的Well-beingの調査(満足度・生活の質に関する調査報告書2023)
内閣府において、主観的指標である「満足度」や、関連する生活実態の動向を把握するため「満足度・生活の質に関する調査」を実施しています。
具体的には13の分野に分けて生活満足度の測定調査を行っています。
- 家計と資産の満足度
- 雇用環境と賃金の満足度
- 住宅の満足度
- 仕事と生活の満足度
- 健康状態の満足度
- 自身の教育水準・教育環境の満足度
- 社会とのつながりの満足度
- 政治・行政・裁判所の満足度
- 自然環境の満足度
- 身の回りの安全の満足度
- 子育てのしやすさの満足度
- 介護のしやすさ・されやすさの満足度
- 生活の楽しさ・面白さの満足度
ファイナンシャル・ウェルビーイングについて
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金融庁 2023事務年度 行政方針
金融庁が8月29日に公表した行政方針内で、以下のとおり言及しています。
ファイナンシャル・ウェルビーイングについては、OECDが2023年4月に公表した「G20/OECD金融消費者保護ハイレベル原則に関する理事会勧告」では、「個人のファイナンシャル・ウェルビーイングとは、自律的および他律的な要因を踏まえて、自分の現在および将来の経済状況を管理し、これに安全を持ち、自由を持つことを指す」とされています。
民間の金融機関ではどのように定義しているのか
三井住友信託銀行
「ファイナンシャル ウェルビーイング」それは、安心して健やかに生きていくために、お金についての不安をとりのぞき、お金との健全な向き合い方ができている状態のことです。
出所:三井住友信託銀行『ファイナンシャル ウェルビーイングの実現』
フィデリティ証券
フィデリティ・インターナショナルでは、お金の面から幸福度を測るモノサシとして「フィナンシャル・ウェルビーイング」という考え方をグローバルで紹介しています。客観的な「数字」と主観的な「感情」という2つの要素からお金の問題にアプローチする、フィデリティ独自のフレームワークです。
出所:フィデリティ証券『フィナンシャル・ウェルビーイング コラム』
今回はウェルビーイング~ファイナンシャル・ウェルビーイングについて、調べてみましたが、特にファイナンシャル・ウェルビーイングについては、まだ定義が確立しておらず、これから徐々に形になっていくような印象を受けました。
少しずつ解像度が高まり、社会全体に浸透していく過程で、もやっとした今の定義がはっきりしてくるのだと思います。